尾仲浩二写真展「すこし色あせた旅」と前田昌樹写真展「打敷」そしてATSUSHI YOSHIE写真展「TAIWAN 2011-2019」

C41Elmar35mm058

思いがけずスキマ時間ができたので、すごく久しぶりに写真ギャラリーをはしごしました。

最初に鑑賞したのはサードディストリクトギャラリーの前田昌樹写真展「打敷」で、都市の近郊と里山が重なり合うような「周辺域」を丁寧に、かつ知的に撮影した作品でした。幸いにも作家氏が在廊しておられたので、自分の拙い感想もお伝えさせていただきましたが、即興性や叙情性と理知的な構図、描写とのバランスに腐心しておられ、また展示環境を考慮したプリントの作成にもかなり気を配っておられるように感じられました。

次に蒼穹舎ギャラリーでATSUSHI YOSHIE写真展「TAIWAN 2011-2019」を鑑賞させていただきましたが、こちらも知的に覚めた空気感と隠し味程度に抑えた叙情性との配分が好ましく、すっかり堪能させていただきました。

そんな心地よさを抱えてプレイスMへ向かったのですが、まさか尾仲浩二氏の展示とは思っていなかったばかりか、ご本人も在廊しておられたので、すっかり舞い上がってしまいました。
尾仲氏については、自分があれこれ説明するのもおこがましいので、写真集専門店Shelf作家解説を参照していただければと思いますが、日本を代表する現代写真家のひとりです。
開催されていたのは尾仲浩二写真展「すこし色あせた旅」で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行によって撮影旅行ができなくなり、その時間を利用してプリントした過去のネガカラー作品を展示したとのことでした。また、同名の写真集も出版され、会場では即売もされていました。
作品についてですが、展示作品の撮影時期は自分にとって写真雑誌やワークショップを通じて尾仲氏の作品と親しんでいた時期と重なるため、どうしても郷愁とか懐かしさが先に立ってしまいがちですが、それは同時に尾仲作品の抒情性や郷愁は見せかけであり、それに足元をすくわれると危ういことを教えられた日々でもありました。
それだけに、自分の経験や記憶がもたらす郷愁、懐かしさが、作品が示す思考の深さ、知的な態度との差分をどうしても意識してしまい、それが微妙な可笑しみともなって、なんとも不思議な鑑賞経験となりました。

前田昌樹写真展「打敷」とATSUSHI YOSHIE写真展「TAIWAN 2011-2019」は明日までですが、尾仲浩二写真展「すこし色あせた旅」は16日まで開催しています。
ぜひ、会場まで足を運んでください。