星玄人写真展「St.photo exhibition 31 東京」と須田一政写真展「煙突のある風景」

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大型連休ということで、久々に写真ギャラリーをはしごした。

最初に鑑賞したのはプレイスM須田一政写真展「煙突のある風景」で、同名の写真集が発売されることに合わせて開かれた展示のようだった。また、須田氏が亡くなられたのは今年の3月で、おそらくは生前から準備されていた展示ではあろうが、どうしてもあれこれ考えてしまう。

須田氏は十分な実績と評価を有する、戦後日本を代表する写真作家のひとりと言っても良さそうな人物である。もちろん、展示作品もその評価に恥じぬ質の高さで、作家自身の熱量と写真作家という存在に対する社会の目線が幸福なカタチで交錯したつかの間のひとときが、丁寧にプリントされていた。

正方形の6×6空間に収められた風景は、ただ当時の写真的な良さ、美しさ、同時代のいきいきした眼差しを銀塩に焼き付けただけのはずだが、時間という隔たりの彼方から眺めると、そこにはどうしても幾ばくかの郷愁、あるいは異界感が漂ってしまうのは避けられそうになかった。だから、撮影地と年代を記した展示の方法については、かすかなため息というか「仕方のないこととは言ってもなんとかならなかったものか」という心情を覚えてしまう。
もちろん、作家没後の展示であり、そこには限界があることも理解しているつもりではあるが……。

次に鑑賞したのはサードディストリクトギャラリー星玄人写真展「St.photo exhibition 31 東京」で、ナンバリングにも表れているようにこのテーマで31回めの展示となる。星氏は平成日本で最も活動的なストリートフォトグラファーのひとりだが、最近では海外からも注目されているようだ。

展示作品は夜の新宿を撮影したストリートフォトグラフィーだが、かれこれ十数年に渡って取り組んできたテーマだけあって、そこにはひとつの作家的美学のようなものが構築されている。ただ、その中にもある程度のゆらぎというか、変化し続けている部分はある。今回の展示ではわりかしはっきりと変化を志向した感があり、それはたまたま立ち話をさせていただいた作家氏自身の言葉によっても裏付けられた。

須田氏と星氏という、新宿を拠点に活動した新旧ふたりの作家と作品を同時に鑑賞できる機会は貴重なので、ぜひとも会場へ足を運んでほしい。

ニコン F マウント マイクロフォーサーズ マウントアダプタ(ELEFOTO)

ELEFOTO(エレフォト)製のニコンマウント(Fマウント)レンズアダプタマイクロフォーサーズボディ用を購入しました。これは旧版で、現行品はレンズマウント側の縁部やリリースノブにローレット加工が施された他、ロゴなどもプリントへ変更されているようです。

アダプタそのものを説明する前に、まず「ニコンマウント」についてごく簡単に説明します。ニコンの一眼レフカメラは(ミラーレスカメラやレンジファインダーカメラは一眼レフカメラと異なります)、銀塩カメラもデジタルカメラもNikon Fマウント(ニコン公式表記)を採用しています。このFマウントは新旧各機種の間で「多くの互換性がある」ため、いちおうひとつのマウントとされています。とはいえ、長年に渡るカメラの発展や多機能化に伴って様々な改良が加えられた結果、物理的にレンズが装着できたとしてもボディ側の機能が大きく制限されたり、あるいはそもそも物理的にレンズが装着できない組み合わせも発生しました。
詳しくはこちらのサイトをご覧ください。かなり複雑な有様であることが、よくご理解いただけると思います。

決定版(?) ニコンFマウント解説 (By キンタロウ)

さて、このアダプタにおけるニコンマウントとは、いったいどの時期のどのようなマウントなのかという問題ですが、それはニコンFが採用していた最初期のFマウントでした。つまり、マウントにカメラボディとの物理的、電気的な情報交換部はありません(当初のFマウントはレンズ鏡胴に露出計との接続爪を備えていました)。
そのため、このアダプタそのものも単なる金属のリングで、可動部もレンズマウントのストッパがあるだけです。また、情報交換部を持たないがゆえに、絞り環をもたないGタイプレンズを装着した場合は、常に開放となってしまいます(ただし、これとは別に機械的な連結機能を備え、絞りを制御できるアダプタも市販されています)。

このように、仕組みとしてはシンプルなので、製品の質を左右するのは剛性や可動部の滑らかさ、加工精度となります。その点、このアダプタは非常にしっかり作られており、レンズやボディとの着脱も気持ちいいほどがっちり、かつスムーズです。
あえて難点をあげるなら、全体にツルッとなめらかなので、いささか力を入れにくく感じることもあるか、ないかと言ったところです。ただ、それも現行バージョンではローレット加工などが施されておることから、ある程度は改善されているようです。

マイクロフォーサーズ規格ですと、素子サイズの関係からレンズの実効焦点距離が2倍となってしまうため、銀塩時代やフルサイズセンサー用のレンズは使いにくく感じるところがあるかもしれません。しかし、考えようによっては標準から中望遠域のレンズが軽量小型の望遠レンズとして使えるので、機材をコンパクトに収められるかもしれません。しかも、レンズの開放値は変わらないので、手軽に大口径望遠レンズを楽しめるとも言えます。

 

Cマウント マイクロフォーサーズ マウントアダプタ

中国製のCマウントレンズアダプタ、マイクロフォーサーズボディ用を購入しました。

Cマウントとはねじ込み式レンズマウントのひとつで、映画用16ミリカメラの標準マウントでもありました。スチルカメラの採用例はごくわずかですが、拳銃型写真機として有名な「ドリュー 2-16」はそのひとつです。

ドリュー 2-16(産業技術史資料データベース)
Doryu 2-16(Camera wiki)

Cマウントの由来は、ベル・ハウエル社(Bell & Howell)のレンズマウント規格です(出典 C-mount)。同社は別にAとBマウントを開発していたことから、3種類目3番目)のマウントとしてCマウントと名付けたようです。
ベル・ハウエルはアメリカを代表するシネカメラのメーカーで、フィルモ(参考 ウィキペディア フィルモ)と名付けられた同社のシネカメラは、第2次世界大戦前から戦後にかけて西側報道用シネカメラの標準となるほどヒットしました。
また、同社のCマウントもフランスのボリューやスイスのボレックスなど、様々なシネカメラに採用され、事実上16ミリシネカメラの標準マウントとなりました。
このような背景から、現在でも16ミリシネカメラはもちろん、
防犯カメラや工業用カメラなどのCCTV規格がCマウントとなっており、さらには一部の顕微鏡にも採用されています。

Cマウントそのものは単なるねじ込み式で、ストッパやカメラボディとの物理的、電気的な情報交換部を持ちません。マウントの詳細については、浅沼商会の光学豆知識「第1回 Cマウントレンズと、CSマウントレンズ編」を参照してください。

さて、基本はねじ込み式ですから、アダプタもこのようにシンプルです。そのため、最近ではマイクロフォーサーズ用のアダプタが安価に販売されており、特に中国製のアダプタはびっくりするくらい安く流通しています。
ところが、安かろう悪かろうではありませんが、中国製のアダプタにはいくつかの問題がありました。
自分は並行輸入している知人から購入したのですが、まずボディに装着できないものがあるので、全量チェックしているとのことでした。さらに、中には無限が出ないものも含まれているそうで、出荷可能な状態のものはかなり少ないということです。
また、無事に装着できて無限が出るものでも大半はオーバーインフ、つまり無限遠よりも奥まったところまで「ねじ込めてしまう」そうです。もちろん、使えないよりはるかの良いのですが、これは固定焦点の16mm映画カメラ用アンジェニュー10mm/f1.8を使うときに、大きな問題となりました。

最後に、並行輸入している知人からいただいた画像ですけど、注文した通りの商品が届くほうが少ないそうで、このときは注文した10個のうちCマウント用は2つだけ、残りはM42マウントレンズ用のニコンマウントアダプタだったそうです。
当人は「マイクロフォーサーズ(M4/3)とM42で間違えたんだろうね」と笑っていましたが、これじゃ小遣い稼ぎにもならないよなぁと思いました。