カムラン Kamlan KL50mm F1.1

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マイクロフォーサーズマウントでフルサイズ換算だと100mmの中望遠レンズとなる「KL50mm F1.1」を試しました。
代理店を通じた国内販売が始まり、カメラショップなどでも気軽に買えるようになった「カムラン」ブランドのレンズで、以前に取り上げた「Kamlan KL28mm F1.4」のシリーズです。

代理店アストロ&バードウォッチング機材専門店「シュミット」の「Kamlan KL50mm F1.1」販売ページ。

代理店の販売サイトでもアピールされているように、大口径レンズとは思えないほどコンパクトです。ただ、フードはかっこいいのですが中望遠レンズには浅すぎ、内部に反射防止用の加工がまったくないことも含めて、気休め程度としか言えません。
このへんは値段なりということでしょう。
深さの点では「KL28mm F1.4」の深いフードが適しているのでしょうけど、どちらもバヨネットマウントの加工が甘く、妙に渋かったり緩かったりします。

幸いにもアタッチメント径が52mmなので、汎用フードでも中古でも選び放題ですから、気になる向きは手元のフードと入れ替えたほうが良いでしょう。

大口径レンズなのにコンパクトなのは5群5枚というレンズ構成によるもので、メーカーサイトの「KL50mm F1.1」解説をご覧になれば一目瞭然、かのルードヴィッヒ・ベルテレがA.クルーグハルトとともに開発し、当時は世界を代表する明るいレンズだったエルノスターの流れをくんでいるというか、まぁ現代版といったところです。
エルノスターは中望遠レンズに適したレンズ構成とされており、それをモダンテイストにアレンジするという着眼点はなかなか興味深いところです。ただ、高折射率鏡片(おそらく、異常分散ガラスでしょう)を2枚使ってもなお、エルノスターの欠点とされる収差の解消は難しかったようで、写りはずいぶん個性的なレンズです。また、これも「KL28mm F1.4」と同様にメーカーサイトではMTFチャートを掲載しているので、お好きな方は読み取ってみてください。
絞り羽根も「KL28mm F1.4」と同様に11枚で、クリックレスの不等間隔で「f11」の表示がないところも同じです。

肝心の写りですが、古典的な設計だけあって描写も古風というか味わい深いというか、グルグルボケに渋い色合いは好みがきっぱり割れそうですね。しかも、ポスプロで修正しにくい描写傾向でもあるところを考えると、現代風に仕上げるのはかなり厳しいでしょうね。
この辺はメーカさんも意識していたようで、すでに本国では「KAMLAN KL50MM F1.1 Ⅱ」なる新型が発売されているようです。スペックをみる限りでは6群8枚という構成だそうで、ふつ~にダブルガウスというかプラナーベースのレンズではないかなと推測します。またMTFなどから、描写も現代的で万人受けしそうな感じですから、できれば併売し続けてほしいところですね。

以下、作例(すべて開放)
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星玄人写真展「St.photo exhibition 31 東京」と須田一政写真展「煙突のある風景」

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大型連休ということで、久々に写真ギャラリーをはしごした。

最初に鑑賞したのはプレイスM須田一政写真展「煙突のある風景」で、同名の写真集が発売されることに合わせて開かれた展示のようだった。また、須田氏が亡くなられたのは今年の3月で、おそらくは生前から準備されていた展示ではあろうが、どうしてもあれこれ考えてしまう。

須田氏は十分な実績と評価を有する、戦後日本を代表する写真作家のひとりと言っても良さそうな人物である。もちろん、展示作品もその評価に恥じぬ質の高さで、作家自身の熱量と写真作家という存在に対する社会の目線が幸福なカタチで交錯したつかの間のひとときが、丁寧にプリントされていた。

正方形の6×6空間に収められた風景は、ただ当時の写真的な良さ、美しさ、同時代のいきいきした眼差しを銀塩に焼き付けただけのはずだが、時間という隔たりの彼方から眺めると、そこにはどうしても幾ばくかの郷愁、あるいは異界感が漂ってしまうのは避けられそうになかった。だから、撮影地と年代を記した展示の方法については、かすかなため息というか「仕方のないこととは言ってもなんとかならなかったものか」という心情を覚えてしまう。
もちろん、作家没後の展示であり、そこには限界があることも理解しているつもりではあるが……。

次に鑑賞したのはサードディストリクトギャラリー星玄人写真展「St.photo exhibition 31 東京」で、ナンバリングにも表れているようにこのテーマで31回めの展示となる。星氏は平成日本で最も活動的なストリートフォトグラファーのひとりだが、最近では海外からも注目されているようだ。

展示作品は夜の新宿を撮影したストリートフォトグラフィーだが、かれこれ十数年に渡って取り組んできたテーマだけあって、そこにはひとつの作家的美学のようなものが構築されている。ただ、その中にもある程度のゆらぎというか、変化し続けている部分はある。今回の展示ではわりかしはっきりと変化を志向した感があり、それはたまたま立ち話をさせていただいた作家氏自身の言葉によっても裏付けられた。

須田氏と星氏という、新宿を拠点に活動した新旧ふたりの作家と作品を同時に鑑賞できる機会は貴重なので、ぜひとも会場へ足を運んでほしい。